BLACKNESS DRAGON
~希望という名の光~
永久(トワ)に続く真っ青な空に、丸いオレンジの太陽。
地には緑が広がり、色鮮やかなな花弁が爽やかな風にのって踊るように舞っていた。
心を和ますように、静かに流れる水の音が心地良く耳に届く。
青いローブを見に纏った、目の下に傷のある黒髪の男性と、青い髪に女の子のような顔をした少年がこの地を歩いていた。
珍しそうに青空を見上げ、澄んだ空気や柔らかな花の匂いに心を落ち着かせていた2人は、何かを察知したのか突然足を止め鋭く目を細める。
2人が足を止めた瞬間、前方から熱風が吹き荒れ、続いてそれを凍らせるように冷たい風がやって来た。
腕を顔の前に翳し耐えていると、熱風と冷風に続いて2人の元に赤い剣が飛んできていた。
「うわっ!?」
回転しながら物凄い勢いで迫ってくるその剣を見て、男性は頭を抱え座り込む。
だが、隣に立つ少年は避けようとはせず、片手を伸ばし簡単に回転する剣の柄を取り、クルリと手首を使って回すと地に突き刺した。
しゃがんでいた男性は、何事もなかったように前方を見やる少年を、驚いたように口を空け見上げていると…
「カイリにラルフ、久しぶり。」
燃えるような真っ赤な髪に、右頬と左の手の甲に赤い入れ墨がある男性が、少年が地に突き刺した剣より一回り小さな剣を片手に姿を現した。
足を引きずるようにしてやって来た男性、フレイに頭を下げるカイリと呼ばれた少年と、素早く立ち上がって片手を挙げ挨拶するラルフ。
「相変わらず小さいな、カイリは。」
爽やかな笑顔を顔に浮かべるフレイは、自分よりも小さなカイリの頭を撫でながらそう言うが、カイリはそれが嫌だったのかフレイの手を払いのける。
「それで、どうなんですか?」
「見ての通り、俺の負けだよ。」
カイリの問いに、両手を挙げ降参したように言うフレイだが、ラルフは遠くを見つめ首を傾げた。
「負けたって、あいつ倒れてるぜ?」
ラルフが指差す先には、紺色こ髪をした少年が地に倒れ、眠るように目を閉じゆっくり呼吸をしていた。