BLACKNESS DRAGON
~希望という名の光~
「随分と探したんだよ、漆黒のDRAGONの主、シュウ。」
枝から飛び降りたマーガレッドは両手を後ろに組み、妖しく微笑みながらシュウへと歩み寄る…
座り込み両手を地に付くシュウは目の前に現れたマーガレッドを睨み、漆黒の剣の柄を握り鞘から身を抜いた。
「この前は君の友達に世話になってね、その時の怪我はもうどうもないんだけど……」
シュウを見下ろすマーガレッドは頭に巻いていた包帯を外すとそれを投げ捨てる。
真っ白な包帯は風に乗ってユラユラと舞いながら姿を消すが、それを気に止める事なく話し続けるマーガレッド。
「その友達のお陰で指名を成し遂げられなくてさ、ヴェイン様からお仕置きをくらっちゃったんだ……」
そう言って左腕を見ると優しくさする。
そんな彼女の左腕は肩から指先まで包帯が巻かれ、未だ出血をしているらしくうっすらと赤く滲んでいた…
睨むように見上げていたシュウは、マーガレッドが自分から目をそらしたその隙に剣を下から斜めに斬り上げる…
だが漆黒の剣はマーガレッドが身を反らし避けた為空を斬り、マーガレッドはバランスを崩したシュウの肩を力一杯蹴り上げた…
交わす事もできなかったシュウは、大木に勢い良く身をぶつけ顔を歪めるが、漆黒の剣を握り締め素早く立ち上がる…
フラフラと身を揺らしながら立ち上がり剣を構えたが、シュウが睨んだ先にはマーガレッドの姿はなく、木の幹に背をつけたまま一歩も動いていないローランの姿が目に入った…
身動き1つ見せないローランへと刃を向けたまま、姿を消したマーガレッドを目で捜す…
左か…
右か…
それとも、後ろか…
木々の隙間や、草村の陰、いろんな所に鋭く目を向けるが、マーガレッドの姿はどこにも見当たらない…
「今日の僕、すっごくイライラしてるんだ。だからさ、もう、終わりにしよう……」
背後からの声に素早く振り返るが、そこにもマーガレッドの姿はなく、シュウは難しそうに眉を潜め数歩慎重に後退る…