BLACKNESS DRAGON ~希望という名の光~

 ~10歳 夏~


俺の体の中にはDRAGONがいる…
昔、人々から体に封印されたのだ。


その封印の証に、左腕にDRAGONのアザがある。また、生きている証拠に、腕が痛む…



ある日、俺の中のDRAGONが暴れ出した…


 「っ!…」

(腕が…)


左腕に、鋭い痛みが走った…
そう、DRAGONのアザのある腕だ…



 「ハァ…ハァ……」

その痛みは、脈を打ちながら、全身へと響いていく…


膝を突き、肩で息をしている時だった…


 「!!」

腕が契れるような痛みが走り、何かが抜けていく、脱力感が体中に伝わった…



 「うっ…」

顔の前で揺れる影…

何なのか…

痛みに耐え、顔を上げる…


 「…!!」

その影の正体は…

DRAGON…

体は闇のように黒く、頑丈な鱗に覆われた、巨大なDRAGON…


そのDRAGONは、鋭い瞳で俺を見下ろし、様子を伺っている…


何もしない俺を見て、DRAGONは町へと飛び立った…



何年も封印され続けたDRAGONは、飢えた魔物のように、町を火の海へと変えるだろう…


わかっていても、俺は動けなかった…
この痛みに耐える事で精一杯だった…


今のDRAGONを、誰も止める事はできない…


この町が滅ぶまで…


誰にも…


< 4 / 397 >

この作品をシェア

pagetop