BLACKNESS DRAGON
~希望という名の光~
~10歳 夏~
俺の体の中にはDRAGONがいる…
昔、人々から体に封印されたのだ。
その封印の証に、左腕にDRAGONのアザがある。また、生きている証拠に、腕が痛む…
ある日、俺の中のDRAGONが暴れ出した…
「っ!…」
(腕が…)
左腕に、鋭い痛みが走った…
そう、DRAGONのアザのある腕だ…
「ハァ…ハァ……」
その痛みは、脈を打ちながら、全身へと響いていく…
膝を突き、肩で息をしている時だった…
「!!」
腕が契れるような痛みが走り、何かが抜けていく、脱力感が体中に伝わった…
「うっ…」
顔の前で揺れる影…
何なのか…
痛みに耐え、顔を上げる…
「…!!」
その影の正体は…
DRAGON…
体は闇のように黒く、頑丈な鱗に覆われた、巨大なDRAGON…
そのDRAGONは、鋭い瞳で俺を見下ろし、様子を伺っている…
何もしない俺を見て、DRAGONは町へと飛び立った…
何年も封印され続けたDRAGONは、飢えた魔物のように、町を火の海へと変えるだろう…
わかっていても、俺は動けなかった…
この痛みに耐える事で精一杯だった…
今のDRAGONを、誰も止める事はできない…
この町が滅ぶまで…
誰にも…