BLACKNESS DRAGON
~希望という名の光~
*fourth* : ~心に宿る憎しみの闇…~
沢山の見送りを受け、シュウ、ライナス、マリンの3人は、研究所から旅立った…
見送る人々の中には、ライナスが旅立つと聞き、泣き出す少女もいた。
ライナスは、そんな少女に歩み寄り、頭を優しく撫で、八重歯を見せて微笑む。
あの、女性の心を鷲掴みにする、天使の笑顔で…
そしてマリンは、様々な者達と別れを語っていた。
同じ格闘家と思われる女性とは、拳と拳を合わせる。
ある男性には、何か可笑しな事でも言われたのか、背中を力強く叩き、噎せさせてしまっていた…
彼女は手加減という物を知らないらしい…
危うくあの男性、死ぬ所だったぞ…
まだ来たばかりで、仲のよい者がいる訳ではないシュウは、2人を見つめる事しかできなかった…
しかし、そんなシュウの元へ、近寄る2つの影…
レオンとカナメである。
2人は何も言わず、シュウの隣に立ち、笑いかけてくれた…
何も言ってくれなくても、側にいてくれるだけで、嬉しかった…
仲間と呼べる者達ができて…
嬉しい時、寂しい時、いつでも側にいてくれる仲間ができて…
旅立つ俺達を、こんなにもの仲間が見送ってくれて、嬉しかった…
今までに感じた事のない程、胸が一杯になった…
見送ってくれるなど、側にいてくれるなど、共に旅をしてくれるなど、なかったから…
ずっと、1人だと、思っていたから…
嬉しくて、嬉しくて、涙がでそうだった…
しかし、心のどこかで、少し、悲しみに似た、何かを感じた…
見送る者達の中に、どこにも、ルリの姿がなかったのだ…
見送りに来てくれなかったのか…
いや、そんな事はどうでもいい…
多分、いや、かなりの確率で、共に旅に出てくれるんじゃないのかと、期待を持っていたから…
だから、共に旅に出ないと知って、少し、悲しかったんだ…
だって彼女は、俺の、初めての仲間だから…
出会いは最低だったけど、ルリといると、何だか落ち着くんだ…
そんな彼女と離れてしまうのは、悲しいけど、俺は、旅に出なければならない。
主の命を救う為に…