一人こっくりさん
第四章 過ち
 俺はこっくりさんにたくさんの質問をした。

俺の担任の女教師は何歳なのか、
明日の夕飯は何か、
あの芸能人の胸は本物なのか、
親父の誕生日はいつだったか、
俺の祖母は何歳で死んだのか、……

 どうでもいいような質問にも、こっくりさんは的確に答えてくれた。

「……へぇ、俺のばあちゃんって82歳で死んだんだぁ」

 別にどうでもいいけど。

『優ー! 優ー!!』

 携帯から駿の声が聞こえた。

「なんだ?」

『もう三時半だよー、そろそろ止めて寝よう?』

 本当だ。
俺は一時間半も質問し続けていたのか。
 明日も学校あるんだもんな……。

「そうだな、じゃあもう電話切るか」

『うん、また学校でね〜!!』

 電話が切れた。

「もう……止めなきゃな……」

 携帯を閉じ、再びパソコンに向かった。
 眠気も限界に来ているし、明日の事も考えればもう寝なければならない。
しかし……

「もう少しだけ……やるかな」

 もっとおもしろい質問はないかな。
もっと、驚くような。

「もう少しだけ……」

 何を質問しよう……
何か……おもしろい質問…


 この時に止めちゃえば良かったのに。
変な欲を出すから……

 あーあ、ほらね。

 もうこっくりさん、怒っちゃった。
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