一人こっくりさん
『優ー! 起きなさい!!』

「んぁ〜?」

 ドアの向こうから母さんの声が聞こえる。

「……俺、あのまま寝ちゃった?」

 質問考えながら寝てしまう俺って……。
 つか、今何時だ?

 携帯を開いた。


 …………思考停止。


「遅刻じゃん!!!」

『だから言ったじゃないの〜』

 ドア越しに母さんの呑気な声が聞こえてきた。

 俺はまさに“マッハ”に準備をして、口に小さなパンを放り込んで家を飛び出た。

 無遅刻王の俺が遅刻などとんでもない!
 ……まぁ、無遅刻王ってのは遅刻魔の駿が付けたあだ名だけどな。


 走って学校まで行くと、いつもの半分の時間で着けた。

「っあー、疲れた!」

 駿は……まだ来てない。
あの遅刻魔……。


 結局駿が教室に入ってきたのはHR後だった。

『おっはよー優!!』

「お前な……俺が走ってまで遅刻せずに来たというのに……」

 仕方ない事だが。

『優も遅刻したの〜?』

「してねぇっ!」

 俺がしたのは寝坊だけだっ!
……決して威張るような事じゃないけどさ。

『あはは〜っ!! そうだ、一人こっくりさんどうだった〜? 僕は今日の給食を聞いてねぇ……』

 一人こっくりさん?
ああ……って

「あ゙ーーーーーーっ!!!!」
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