一人こっくりさん
 俺は思わず目を瞑った。

 ズゴオォン!!

 地に響くような鈍い音がした。

「!!?」

 何だ!?!?

 俺は目を開けた。

「……チイラ!?」

 チイラが片手で阻止して、手を吹き飛ばしていた。
 駿もそれを見た。

『……知依』

 ん、今なんて?
 “ちい”って聞こえたけど。

 気付くとあの手は無くなっていて、チイラがこちらを見ている。

『お兄ちゃん……』

 俺!!?
 ……んな訳ない。

 チイラは駿を見ていた。

『知依……こんなところに居たのか……』

 駿はいつものちゃらんぽらんな雰囲気ではなかった。

『うん……。この人お兄ちゃんの知り合いだったんだ……』

 チイラは何故か申し訳なさそうに言った。

「あのー……」

 ここに一名、状況を全く判断できない者がいるんですけど。

『あっ、優居たんだ』

 おい駿!! 酷っ!
 ここ俺の部屋なのに……

『居たの? 初耳……』

 いやいやいや。
 どこからツッコんでいいのやら。
 とりあえずこんな状況なのでツッコミは止めておこう。

『説明するね』

 駿が言った。

『これ、僕のお兄ちゃん』

『これ、僕の妹っ』


 ……チイラって女だったのか。
 一人称“僕”なのに……

「……ってか兄妹!?!?」
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