一人こっくりさん
 駿は部屋を出ていった。


「駿……」

 俺は、実は駿が居る時から意識を取り戻していた。
 でも駿が泣きながら謝ってたから、なかなか目を開けられなかった。

「ごめんね……かぁ」

 あいつは
 駿は
 自分の事を責めているんだな。

 馬鹿な奴だ。
 駿は悪くないのに。
 俺が、こっくりさんを終わらせないまま寝てしまったから……。

 何故あの時止めなかったのだろうか。
 それが、人間の欲だというのか。

 もっと、もっと、もっと、……。

 そんな欲が、人間を闇に陥れる。
 まさに今は、その闇の中だな。

 一人、苦笑する。

「……駿、どこいったんだろ?」

 俺の部屋に戻ってなければいいが……。

「うーん……」

 やはり心配だ。

 でも起き上がろうとすると肩が痛む。
 血もまた出てきてしまう。
 俺は寝ているしか出来ない。

 なんて、非力なんだ。

 俺とは全く関係の無かったチイラがたった今、こっくりさんと戦っているというのに。

 親友が、俺とチイラを守ろうと決心したというのに。

 俺は、何をやってるんだ……。
 守られてばかりじゃねぇか。

 かっこ悪いな。
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