一人こっくりさん
『そういえば優♪』

「何?」

『僕があの本どうやって取ってきたか知ってる?』

「は、……さぁ? 図書室から借りたとか?」

『ブッブー!!』

 知るかよ……。

「で、答えは?」

『あれ、もう降参?』

「……降参、降参」

 俺は投げやりに答えた。



『優の母さんだよ』



「え?」

 俺の、母さん?

『僕あの時、一人こっくりさんの事を調べてたんだけどなかなか情報が見つからなかったんだ』

「それで?」

『そしたら頭上にこの本が落ちてきたんだ。ゴンって』

 ゴンって、痛そうだな。
 って言うか――。

「なんでそれが俺の母さんなんだよ?」

『裏表紙、見て!』

 そう言って駿は裏表紙を俺に向けた。

〔S.K〕

 静恵……北森……。
 母さんの名前。

『ね?』

 駿は微笑んだ。

「……だな」

 俺も微笑んだ。

『ははっ』

 チイラも微笑んだ。


 母さんも、微笑んだ気がした。
 
 
     ―完―
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