一人こっくりさん
時計を見ると、確かに後数分で二時になるようだ。
「……やるか」
眠い目を擦り、“分かった”とメールを返しておいた。
「まず“北の窓を開ける”か」
俺は方法のページに書いてある指示を読み上げながら、部屋の北側にある小さめの窓を少しだけ開けた。
「次に“線香に火をつける”んだな」
順番通り、線香に火を灯した。
「あとは“部屋の明かりを全て消す”と……」
部屋を照らすのは、小さく光る線香の火と、妙に明るく見えるパソコンだけになった。
窓から吹く生温い風が、頬を撫でる。
「雰囲気出てるな……」
俺はもう一度だけ方法を確認して、鳥居のある画面に戻った。
時刻は丁度二時、丑三つ時を指していた。
駿に“今からやる”とだけメールを送り、十円玉を鳥居に合わせた。
「こっくりさん、こっくりさん。おいでになりましたら北の窓からお入り下さい」