ショコラ~恋なんてあり得ない~
「だって、離婚したのを父……親父はずっと気にしてるし」
「……」
「母さんがいなくなって、あたしが店でバイトするようになってからずっとああよ。
店が出来上がったばかりの頃は借金だらけだし。
他にバイトを雇うお金なんかなくて、結局あたしがすることになって。
そのままなし崩しに調理師学校に行くことになって今じゃ完全に店員。
親父はそれを、……多分気にしてるのよ」
なんとなく、まっすぐ宗司さんの目を見ているのが嫌で、手元のノートに指をこすりつけた。
すると宗司さんの目は今度はノートに釘付けになる。
「これ」
「あ、ちょっと見ないでよ!」
「かき氷の案?」
「フラッペって言って!」
「へえ、面白い」