ショコラ~恋なんてあり得ない~
宗司さんはノートを奪い取るようにして持って行くと、真剣な眼差しでフンフンと読み始める。
それを見ているあたしは、まるで面接官の前にいる受験生のよう。
自分の考えたものが人に見られるのって、こんなに恥ずかしいんだ。
「あのね、フラッペ出しましょうって言ったら親父が試作品考えてみろって。
参っちゃうわ、あたしにそんなの思い付く訳ないじゃない。
ただのウェイトレスなんだから。
それに、マサが居るんだから。
マサだけに考えさせればいいのに」
言い訳を並べるあたしの言葉を、彼は聞いているのかいないのか、ノートから視線を外そうとしない。
それに、宗司さん沈黙が長い。
まあこの人の事だから、一つ一つ見ながらあれこれ考えてるのだろうとは思うけど。
なんか待ってる身には辛いというか。
ドキドキして、心臓が持たないよ。