ショコラ~恋なんてあり得ない~
「でも、あたし。才能無いのに」
「それは詩子さんが判断することじゃないんじゃない?
俺は、すごいと思うけど。
何時間で考えたのか知らないけど、これだけのバリエーションを考えついたんでしょ?」
「でも」
マサの方が、上手に決まってる。
「マスターは、詩子さんの力を見たいんじゃないの?」
「だってあたしぶきっちょで」
「うん。だから。それ以外の力を。多分アイディアかな」
そこは肯定するのかよ。
でも本当なので反論できず、あたしは話を続ける。
「でもね、あたし……」
「俺はこれ、食べてみたいけど。どれもおいしそうだと思うし、なにより詩子さんの考えたフラッペだもん。
何か予想外な事が起きそうで楽しみだよ」
「何よそれ失礼!」
「だって。俺最初、詩子さんは楚々としたお嬢さんなんだと思ってた。
でも話してみると、時々怖くてでも優しくて。
知れば知るほど、詩子さんは綺麗より可愛いだなぁって」
「え?」
「あ」
ポロリと言われた言葉に、あたしは図らずも真っ赤になってしまう。
宗司さんもマズイ事を言ったとでも思ったのか、少し口ごもって言い替えた。