ショコラ~恋なんてあり得ない~
「マサさんとは、やっぱり競いたくないの?」
「そりゃ……」
負けるに決まってるもの。
誰だって分の悪い勝負はしたくないものよ。
「好きだから?」
「はぁ?」
突拍子もない事を言いだした宗司さんは、真面目な顔でこっちを見てる。
その変な思いつめた顔やめてよ。
絶対、何かとんでもない勘違いをされてる!
「ちょっと、宗司さん」
「好きだから彼とは戦いたくないんだ?」
「違うって」
「彼女が居るのを気にしてる? でも、詩子さんが気持ちを抑え込むことは無いと思う」
違うっつーの!
抑えてるのはマサにじゃないわよ。あんたによ!
「俺はその彼女の事、良く知らないけど。詩子さんは可愛いよ。絶対。それは保障する」
褒められてるのに。
さっきは嬉しかったはずの『可愛い』という言葉が途端に嬉しくなくなった。