ショコラ~恋なんてあり得ない~



 
「詩子、もう上がっていいぞ」


休憩のコーヒーを飲みながら親父が言う。


「で? でもまだ静香ちゃん来てないわよ?」

「もう客もまばらだから大丈夫だ」


確かに。店内には一組のカップルだけ。
別に三人で顔付きあわせなくったっていいか。

親父の言葉に便乗するようにマサも頷く。


「そうそう。詩子が居ると俺も試作品づくり出来ないから」

「マサ、店でやってるの? それずるくない?」

「仕方ないだろ。俺の方が店にいる時間長いんだから。ここでやらないとやる時間無いんだよ」

「ちっ」


まあそうか、マサは閉店までいるもんな。
安月給なのに良く働いてくれてるわよ、感謝してる。

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