ショコラ~恋なんてあり得ない~
「父さん」
「マスター、俺、感激しました!」
マサが瞳をウルウルさせながら親父の手を握る。
いや、あたしも親父のその言葉は嬉しいけどさ。
そして、今のこの二人も感動シーンなんだろうけど。
ちょっと絵面的にどうなの。
ホモのラブシーンみたいで気持ち悪いわ。
「……どうでもいいけど、話の論点がずれた気がするわ?」
あたしの一言に、感激屋の二人はハッと顔を見合わせる。
「どうすんのよ。結局フラッペは」
「だから、意見としては詩子のを採用したいんだ。でも作るのはマサにお願いしたい。
それを二人に了承してもらえれば、だがな」
「つまりはいいとこどりってことね?」
「そういうことだ。遊びじゃないからな」
出たな、変な職人魂。
結局、あたしはアイディアが良くても作らせるにはまだまだってことね。