ショコラ~恋なんてあり得ない~

13 彼氏彼女



 それから日々は慌ただしく過ぎ、七月に入る。

フラッペは夏の一押しメニューとしてドドンとメニューボードに貼りつけた。
注文数も評判も中々いい。

笑顔で帰っていくお客さんの顔を見て、ようやく本当に安心できた自分に気づく。
あたしはどうやら、自分が思っているより自信家ではないらしい。


宗司さんは前みたいに毎日来てくれるようになって、
嬉しそうにあたしからケーキの話を聞いて帰っていく。

今までと変わらない穏やかな日々。


嬉しいわよ。嬉しいけど。

アンタはホントにあたしの事を好きなの?
あたしはもっと一緒に出かけたり、二人っきりになったりしたいのに。


どうしてそうのほほんとしてるのよ!


ああんもう! 
採用試験が終わるまでなんて待てない。


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