ショコラ~恋なんてあり得ない~
宗司さんの去っていった扉をイライラしながら眺めていると、やがてゆっくりと開いて女の子が入ってくる。
和美ちゃんだ。
「こんにちは」
「いらっしゃい、和美ちゃん。マサ呼ぼうか?」
「いいえ。あの、新作のフラッペ食べてみたいなって思って来たんです」
「あらそうなの。コーヒー味のでいい?」
「はい」
和美ちゃんは、カウンター席の一番端に座る。
ここはあたしやマサが待機している時に一番話しやすい席だ。
「マサ、注文。フラッペ一つね!」
「おう。……あれ、和美」
厨房からひょっこり顔を出したマサは、彼女を見るなりちょっと体をびくつかせる。