ショコラ~恋なんてあり得ない~
「大丈夫? 和美ちゃん」
「大丈夫、です。詩子さん、私ねぇ。ホントはいつも心配だったんです。
だって詩子さんは美人でハキハキしてて、私の理想なんですもん」
「はあ」
「フラッペの試食会の後、マサさんすごく詩子さんの事褒めるんですもん。
なんか悲しくなっちゃって。
昨日の飲み会もちょっとやけっぱちだったりもしたんです。
だから。……マサさんに怒られて怖くなっちゃって」
ボロボロと本音らしきものが飛び出してくる。
なるほど、確かに酔うと口が回る。
マサ、ちゃんと和美ちゃんの事分かってるじゃん。
「マサさんが、いつか詩子さんの事好きになっちゃたらどうしよう……」
ぽそりと呟いて、涙がポロリ。
一人で心配して落ち込んで。
ああ可愛いなぁ、女の子って感じ。
あたしはマサなんか好きじゃない、って前にも言ったはずだけど。
恋する乙女の頭の中は、そんなの冷静に考えられないんだろうなぁ。