ショコラ~恋なんてあり得ない~
「な、なんだ?」
宗司さんの塾のある建物から、数人の男の人が出てくる。
きょろきょろと見回した後、あたしたちに気付いたのか、叫びながら近付いてきた。
「何してんだ!」
その声は宗司さん。
やばい。どうしよう。
こんなところ見られるなんて。
変な汗が出てくる。
だってその時あたしは、その男の腕を締めあげていて、男の方が半泣きになっているんだもの。
「い、いてぇ。離せよ」
「もう何もしないって言うなら離すわよ」
「しねえってば。こんな怖い女に手なんか出せるかよ」
「失礼ね」
ギリギリともっと締めあげてやる。