ショコラ~恋なんてあり得ない~

「な、なんだ?」


宗司さんの塾のある建物から、数人の男の人が出てくる。
きょろきょろと見回した後、あたしたちに気付いたのか、叫びながら近付いてきた。


「何してんだ!」


その声は宗司さん。

やばい。どうしよう。
こんなところ見られるなんて。

変な汗が出てくる。
だってその時あたしは、その男の腕を締めあげていて、男の方が半泣きになっているんだもの。


「い、いてぇ。離せよ」

「もう何もしないって言うなら離すわよ」

「しねえってば。こんな怖い女に手なんか出せるかよ」

「失礼ね」


ギリギリともっと締めあげてやる。
< 194 / 303 >

この作品をシェア

pagetop