ショコラ~恋なんてあり得ない~

厨房に入り、マサに向かって「フラッペ一つ」と頼む。
ちらりと親父を見ると、一心不乱に明日の仕込みらしきものをしている。

どうしよう。
親父に言うべきかな。母さんが来たって。

でも親父に聞いたって言ってた。

って事は母さんと親父は数日のうちに会話をしてたって事で、
もしかして落ち込んでたのはそのせい……?


「すいませーん」


店の方から声が聞こえて、結局、親父には声をかけれないままあたしはカウンターの方へと戻った。


「お待たせしました」


お客様のお会計を済ませて、母さんの方を振り向いたと同時に、マサがフラッペを持って出てきた。

それを受け取って、母さんに前に出す。

母さんはまじまじとあたしとマサを見比べ、その後フラッペに視線を注いだ。

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