ショコラ~恋なんてあり得ない~

その問いかけに母さんは笑う。


「嫌ね、娘よ」


あたしはショックよー!!

そんなに老けて見える? 
あたしは母さんが二十五歳の時の子供よ?


「こんな大きなお子さんいらっしゃったんですか! 
うわーごめんなさい。桂木さんが若く見えるもんだから……。美人親子ですね」


取ってつけたようにお世辞言われたって嬉しくないわよ。
あたしは不機嫌さを隠さないまま店員さんを軽く睨む。

席へと案内されるとすぐにグラスに入ったお水が出てきて、こっそりと「ナスは大丈夫ですか?」と聞かれる。

頷くと彼は嬉しそうに笑った。



「コラーゲン鍋二人前ね」

「はい!」


元気よく戻って行ったかと思うと、鍋の材料と共に『揚げナスの煮びたし』を持ってきてくれた。

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