ショコラ~恋なんてあり得ない~


「父さんには言ったの?」

「昨日言った」


それで、今日にまでかけて落ち込んでるってことね?


「なんて言ってた」

「おめでとうって言ってくれたわよ? 
幸せになって欲しいって。……まあ、強がりなのは見て分かったけど」

「だよね。想像つく。涙目だよね、絶対」

「そうそう!」


あはははは、って二人で声を合わせて笑った後、母さんは、はあと少し力の抜けたような声を出した。


「……隆二くん、変わらないよね」

「そう?」

「私ね。隆二くんのこと、すごく好きだったけど。一つだけ気に入らないところがあった。
完璧が過ぎるって言うか、人を育てるのが下手って言うか。
詩子のフラッペだってそうよ。
アイディアを採用したんなら、責任もって詩子に作らせればよかったと思う」

< 217 / 303 >

この作品をシェア

pagetop