ショコラ~恋なんてあり得ない~
「父さんには言ったの?」
「昨日言った」
それで、今日にまでかけて落ち込んでるってことね?
「なんて言ってた」
「おめでとうって言ってくれたわよ?
幸せになって欲しいって。……まあ、強がりなのは見て分かったけど」
「だよね。想像つく。涙目だよね、絶対」
「そうそう!」
あはははは、って二人で声を合わせて笑った後、母さんは、はあと少し力の抜けたような声を出した。
「……隆二くん、変わらないよね」
「そう?」
「私ね。隆二くんのこと、すごく好きだったけど。一つだけ気に入らないところがあった。
完璧が過ぎるって言うか、人を育てるのが下手って言うか。
詩子のフラッペだってそうよ。
アイディアを採用したんなら、責任もって詩子に作らせればよかったと思う」