ショコラ~恋なんてあり得ない~
「……落ち込んでるの?」
「うん、まあ。……俺、康子さんはいつかは戻ってきてくれると思ってた」
「はぁ?」
離婚して七年も経ってるのよ。
それはいくらなんでも夢見すぎなんじゃないの?
あたしの怪訝な視線に気づいたのか、親父は一瞬ぎょっとした顔をして、その後苦笑した。
「……詩子には内緒にしてたけどな。何度かヨリを戻してたんだ、俺たち」
「ええっ?」
そんなの初耳よ?
何それ、一体いつ?
だって、店に母さんが来たのを見たことも無かったし、家にだって連れ込まなかったじゃないの。
「康子さんが、詩子を混乱させたくないから言うなって。……まあ、そういうって事は、本気で俺のところに戻ってくるつもりじゃなかったのかも知れないな」
「って、いつ?」
「一番最後が去年の十月だ」
「そんな最近?」