ショコラ~恋なんてあり得ない~
「……好きよ」
体を伸ばして、宗司さんの頭を抱え込んで抱きしめる。
「昨日より今日の方が好きだし、明日は多分もっと好きだわ」
腕の中の宗司さんから少し力が抜けてくる。
「今日がラッキーなら明日がダメだなんてそんなこと決まってない。あたしが勝利の女神だっていうなら、宗司さんはきっと勝てる」
「詩子さん」
「あたしを信じなさい!」
強気で言い張ってみたけど。
実際は声も震えてるし、顔は困った表情になってるし、真っ赤だろう。
だから宗司さんを抱きしめたまま、離すこともできない。
こんな顔見せたら、説得力が無くなるもん。
宗司さんは、固まったようなぎこちない動きであたしを抱きしめ返す。
時が止まったみたいに、あたしたちはそのままの格好で。
張り付く肌の間に感じる汗とか、直射する日光の熱を不快に感じながら。
だけどどこか幸せな気持ちを共有していたんだと思う。