ショコラ~恋なんてあり得ない~

あれだけ愛されるってすごくない? 

十五歳も年上なのに。
熟女の魅力とか何とかあるのかしら。

愛されるコツがあるなら、ぜひ教えてもらいたいもんだ。

 
 だけど料理も終盤、デザートがやってくると、母さんのテンションが少しだけ下がる。

大きなお皿にポツンと、だけどとても綺麗に繊細に飾りつけられたケーキを見て、苦笑する。

庄司さんは、気にせずに笑っていたけれど。
母さんがその時誰を思っているかがあたしには分かったから、胸が痛くなった。

母さんは、この先ケーキを見るたびに、ずっとあんな顔をするつもりなんだろうか。

そう思ったら、何か言わなきゃいけないような気がして。
だけど、言えなかった。
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