ショコラ~恋なんてあり得ない~

 食べ終わって二人と別れる時、あたしはそんな想いから母さんの顔をじっと見てしまった。
すると不審そうに私を見る。


「何? 詩子」

「ううん。何でもないけど」

「そう? じゃあ気をつけて帰るのよ」

「うん。……母さん」

「ん?」

「幸せになってね?」


母さんがどんな風にその言葉を受け止めたのかはあたしは知らない。

ただ、苦笑してた。
それが答えのような気もした。


そのまま帰ろうかとも思ったんだけど、何だかとても寂しくなってしまった。
携帯電話を操って、宗司さんの番号を探す。


時間は九時。
お仕事も終わってるでしょ?

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