ショコラ~恋なんてあり得ない~


「今日は母さんに会って来たの。うちの親、離婚してるのよ」

「え? そうだったんだ。ああだから。マスターは余計詩子さんを心配するんだね」

「ちょっとウザイくらいだけどね。あたしもう大人なのに、いつまでたっても子供扱いよ」

「でも嬉しいんじゃない? 俺、実家でてから結構経つけど、たまに心配されたくなる」

「あたしはいつも宗司さん心配だけど」

「え? なんで?」

「だって。なんか失敗してそうだもん」

「酷いなぁ」

「ホントでしょ?」


顔を見合わせてあははって笑って、なんとなく自然に手を繋ぐ。

宗司さんと居ると、イライラすることも多いし、ものすごくときめくような出来事もないけど。
これはこれで幸せだと思う。


だから、ねぇ神様、お願い。

彼を合格させてください。
ずっとあたしの傍にいてくれるように。

普段信じてもいない神様に、都合のいい時ばかりお願いする。

あたしってヤツは……思わないこともないけど、世の中そんなもんよ。
受からせてくれなかったら、やっぱり信じてあげないんだからね!


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