ショコラ~恋なんてあり得ない~



そして夕方。
ようやくひと段落して、カウンターに突っ伏す。


「そんなに大変だったんですかぁ。お疲れ様です」


夕方からのバイトの静香ちゃんが、息も絶え絶えのあたしたちを見て同情の眼差しを向けてくる。


「静香ちゃん、テーブル拭いてきて」

「詩子さんもう上がり時間とっくに過ぎてますよ。今日はゆっくり休んでください」

「はは。ありがとう」


イヤでも、もう足が痛くて動きたくないくらいですけど。

重力に逆らう気力もない。
カウンターに頭を押し付けて、何の気なく窓の方に目を向ける。

夏は陽が長いなぁ。
ようやく西に傾いてきた太陽が、それでもまだまだ明るく差し込んでくる。

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