ショコラ~恋なんてあり得ない~
「……あれ」
窓から見える景色の中に、うごめく影が見える。
そう言えば今日は宗司さん来てない。
結果が出るのもそろそろだ。
宗司さんの事だもん。
受かってたら真っ先にあたしに教えに来てくれるはずだ。
だけど、落ちてたら。
そうしたら、こんな風に陰から覗いて立ち去ったりする……?
「宗司さん……」
エプロンを外すのも忘れて、あたしは外へと駆け出した。
動きだしてから足の痛みに気付く。
あたしの動きに気付いたその影は、慌てて逃げようとするけど。
「待って」
呼びかけると、観念したように立ち止まってうなだれた。
こちらに向かって延びた影は、緩いカーブを描いている。