ショコラ~恋なんてあり得ない~
沈黙の時間が五分ほどあっただろうか。
一つの影が近付いてくる。
顔をあげると、それは親父のもので。
親父はずかずかとあたしたちの間に割り込んできたかと思うと、眉尻をあげて宗司さんを一瞥した。
「落ちたのか」
どうしてそう直接的に言うかな。
デリカシーってもんに欠けてる。
「……はい」
親父に言われて、顔をあげれないままそう呟く宗司さん。
居ても立ってもいられなくなって、彼の腕に寄り添い、親父を睨みつけた。
あたしのせいでこんなことになったのだとしても。
これ以上傷つけようとするものからなら、あたしが守ってあげる。
そんな気持ちで、彼の腕を触る。
情けない顔であたしを見る彼を、後押しするように見詰めた。
今がダメでも、いつかは良くなる時がくる。
お願いだからそんなに落ち込まないで。
親父が何て言ったって、あたしがなんとかしてあげるわよ!