ショコラ~恋なんてあり得ない~
「良かったじゃないか」
勇んで親父の言葉を待っていたのに、思いもよらない一言に目が点になる。
「は?」
「え? あの?」
それは宗司さんも同じらしく、返答にあぐねて戸惑っている。
「いや、やっぱり人をちゃんと見ている。教育委員会もバカじゃない。
これで俺も構想中の考えが話せるってもんだ。ちょっと店に来い」
そう言って、親父は先に店に戻っていく。
あたしと宗司さんは互いに顔を見合わせて、小首を傾げあったけど。
親父の真意なんかわかる訳もなく、大人しく後について行くことにした。