ショコラ~恋なんてあり得ない~

 店に入ると、静香ちゃんが一生懸命洗いものをしていた。
お客様は二組。
飲み物は出ているようで、静かなものだ。


「店じゃなんだからこっち来い」


そう言って、親父はあたしたちを厨房の方まで連れてきて、アイスコーヒーをいれてくれた。

香ばしい香りに少し落ち着いてきた。
あたしと宗司さんは視線を合わせながら、親父の言葉を待っていた。


「マサも座れ」

「え? 俺もですか?」


明らかに部外者と思われるマサまで座らされる。

なんなのよ一体。

親父は一つ咳払いをすると、まずは宗司さんに向かって言った。

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