ショコラ~恋なんてあり得ない~


そして親父は親父で。
マサを逃がさない為のプランって訳だ。

ついでにあたしも逃がさないように、宗司さんをとりこんだって事?

案外賢いな。
なんだかんだと、人の為を思っているようで、自分の願望を全部中に詰め込んである。


「……俺、頑張ります」


ようやく思考がまとまったのか宗司さんが口を開く。


「え? ああ。え?」


親父、返事が間抜け。

でも宗司さんの顔が、さっきまでと打って変わって晴れ晴れとしていて、あたしも何だか嬉しくなってきた。


「理想とする塾経営。考えてみます。
"無ければ作る"って発想。今までの俺には無かったんです。
凄いですマスター! 尊敬します!」

「いやいや。ははは」


男二人に尊敬の眼差しで見られて喜んでんじゃないわよ。


苦い表情で親父を睨んでいると、親父はちらりとあたしを見る。


「お前はどう思う? 詩子」

「……」

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