ショコラ~恋なんてあり得ない~

 そしてその夜。

家に帰ってきた親父に、フラッペを出してみる。


「何だこりゃ」

「見れば分かるでしょ。フラッペよ」

「へぇ、随分上手く盛れるようになったな。
でも、ここ傾いてる。それに氷の盛り方も雑だ。ほら見ろ、ここ。実は隙間がある。
こういういところから崩れてくんだぞ。
詩子は繊細さがもうちょっと欲しいな」

「あーそうですか」

「でもそろそろ店に出せるかもな」


そう言って、おもむろに食べだす。
夜にこんなの食えるかって言われるかと思ったけど、素直に食べるものね。

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