ショコラ~恋なんてあり得ない~
「父さん」
「んー、なんだ」
フラッペが半分以上無くなったところで話しかける。
「……ありがと」
「なんだ? 気持ち悪いな。お前にお礼言われるような事したか?」
「宗司さんの事。ありがと」
「いや、あれはビジネス交渉だから気にするな。
二階が塾になれば、人の出入りは増える。
販売もするから、子供が買える値段のカスタードケーキとかも置こうと思ってるんだ。
そうしたら塾帰りの子供も買う。どうだ、いい事づくめだろ」
「……思いつきで言ってたわけじゃなかったんだ」
ある意味尊敬。
凄いな。
まあでも、あたしが救われたことには違いないのよ。
だって。
あの時あたしは、宗司さんになんて言っていいか分からなかった。
思い付きだけで話す自分が情けなくて落ち込みそうになってた。
それを、親父の提案が吹き飛ばしてくれた。