ショコラ~恋なんてあり得ない~

「父さん」

「んー、なんだ」


フラッペが半分以上無くなったところで話しかける。


「……ありがと」

「なんだ? 気持ち悪いな。お前にお礼言われるような事したか?」

「宗司さんの事。ありがと」

「いや、あれはビジネス交渉だから気にするな。
二階が塾になれば、人の出入りは増える。
販売もするから、子供が買える値段のカスタードケーキとかも置こうと思ってるんだ。
そうしたら塾帰りの子供も買う。どうだ、いい事づくめだろ」

「……思いつきで言ってたわけじゃなかったんだ」


ある意味尊敬。
凄いな。


まあでも、あたしが救われたことには違いないのよ。

だって。

あの時あたしは、宗司さんになんて言っていいか分からなかった。

思い付きだけで話す自分が情けなくて落ち込みそうになってた。


それを、親父の提案が吹き飛ばしてくれた。

< 281 / 303 >

この作品をシェア

pagetop