ショコラ~恋なんてあり得ない~
親父の顔が泣き笑いみたいになって。
テーブルの上に置かれた拳は、ゆっくり、だけど確かに力が込められていってる。
「……詩子が駄々こねたって言うぞ」
「いくらでも言っていいよ。だから頑張ってみて」
「ちょっと出かけてくる」
「行ってらっしゃい!」
フラッペを残したまま、親父は勢いよく走りだした。
結果がどうなるかは分からない。
もしかしたら、あたしはまた勢いだけで余計なことをしてるのかも知れないけど。
その時は親父がなんとかしてくれるんでしょ?