ショコラ~恋なんてあり得ない~
「だって、詩子さんが初めてだと思わなかったし」
その言葉に、あたしの顔が一気に赤くなる。
それを口に出すかぁ? 恥ずかしい。
大人しく胸におさめておきなさいよ!
「な、何よ! 悪い? だって仕方ないでしょ。
あたしはずっと『ショコラ』の仕事のせいで忙しかったから、男の子と付き合ってる余裕なんてなかったもん。
そりゃ、二十二にもなってバージンは珍しいかもしれないけど」
「悪いなんて言ってないよ。嬉しい。
それにもう二十三だよ。誕生日おめでとう、詩子さん」
そのまま近づいてくる宗司さんをじっと見つめてると、恥ずかしそうに目を伏せられる。
「目つぶってよ、詩子さん」
「なんで」
「おめでとうってしたいんだってば」
「……はい」
目をつぶると、唇に触れるのは温かい彼のそれ。
軽く一度触れた後、ゆっくりと舌が唇をなぞる。