ショコラ~恋なんてあり得ない~
そう。
お店の改装を終え、三月に開校した宗司さんの個人塾は、まだ数人しか塾生がいない。
主に小学生で、前居たところの塾で宗司さんの教育方針が合っていた子供たちと、そのお友達がらみ。
だけど、帰っていく子供たちの笑顔は、あたしも時折り店の窓から覗いて見てるけど悪くない。
まだ初めて一月しか経ってないんだもん。
手ごたえがない訳じゃないし、これからでしょう。
あたしは手早く着替えを済ませ、立ち上がる。
あらでも、体が上手く動かないわ?
「ほら、なんかふらついてるよ?
パンしかないけどそれでいい?」
「うん」
「一緒に食べよう。俺、誰かと朝食食べるのって、すごく久しぶりなんだ」
嬉しそうにそういう宗司さんは、すっくと立ち上がって快活そうに動いている。
なんでだろう、悔しすぎる。
あたしだけこんな動けないなんて癪だわ。