ショコラ~恋なんてあり得ない~
軽い朝食を済ませ、宗司さんのアパートを出る。
時刻は七時半を回った頃で、出勤のサラリーマンたちが足早にあたしたちを追い抜かしていく。
「……なんでついてくる?」
「送るよ。家まで」
「いいわよ。暗い訳でもないし」
「じゃあ散歩」
宗司さんのアパートは、『ショコラ』とあたしの自宅がある駅から二駅程離れている。
一緒にいれるのは嬉しいけど、散歩がてら送ってもらうには遠すぎる気がするのだけど。
「誕生日の朝から一緒に居られるなんて幸せだな」
「そう? 宗司さんは七月だっけ。今年こそはちゃんとお祝いするからね」
「うん。ありがとう。そうだ、プレゼント。今度一緒に買いに行こう。色々悩んだんだけど結局決められなかったんだ」
相変わらず、ここでスッとプレゼントが出てこない辺りがしまらない。
まあいいけど。