ショコラ~恋なんてあり得ない~

 軽い朝食を済ませ、宗司さんのアパートを出る。
時刻は七時半を回った頃で、出勤のサラリーマンたちが足早にあたしたちを追い抜かしていく。


「……なんでついてくる?」

「送るよ。家まで」

「いいわよ。暗い訳でもないし」

「じゃあ散歩」


宗司さんのアパートは、『ショコラ』とあたしの自宅がある駅から二駅程離れている。
一緒にいれるのは嬉しいけど、散歩がてら送ってもらうには遠すぎる気がするのだけど。


「誕生日の朝から一緒に居られるなんて幸せだな」

「そう? 宗司さんは七月だっけ。今年こそはちゃんとお祝いするからね」

「うん。ありがとう。そうだ、プレゼント。今度一緒に買いに行こう。色々悩んだんだけど結局決められなかったんだ」


相変わらず、ここでスッとプレゼントが出てこない辺りがしまらない。
まあいいけど。

< 292 / 303 >

この作品をシェア

pagetop