ショコラ~恋なんてあり得ない~
パティシエとして、人生の先輩として、尊敬してはいるけどね。
でもやっぱりウザい。
年頃の娘の恋愛にいちいち口出すんじゃないわよ。
「もういいから仕事してよ! ホラ、開店準備するわよ」
「うわあ、はい! 俺、貯蔵庫から材料運んできますよー」
「宗司、小麦粉三十キロ取ってこい」
「ええっ」
そんなに使わない癖に。
もうホント、呆れちゃうわ。
『ふざけんなよ、親父』
そう心の中で呟きつつ、あたしはエプロンをつけ店へと出る。