ショコラ~恋なんてあり得ない~
「ホントにごめんね」
あたしの言葉を遮るように、彼は言った。
「ちょっと色々悩んでたから、あんなこと言っちゃって。
俺にとってはホントに羨ましいって思えたんだよ。
決して馬鹿にしたり軽んじて言ったつもりじゃなかった。
でも、詩子さんには詩子さんの気持ちがあるよね。君の顔、見た瞬間にしまったって思ったんだけど。
俺、ああいう時すぐにいい言葉浮かばないんだよね」
確かに、常に迷ってる感じはするわ。
「何が禁句だったかな。将来が決まってるっていっちゃったこと?
詩子さんがあそこを継ぐって思ったんだけど違った?」
「……それは、一応娘なので間違ってはないけど。ただ、あたしは似合わないから」
「なにが?」
「喫茶店とか」
「そう? 結構有名なんだけど、『ショコラ』のウェイトレスは可愛いって」