ショコラ~恋なんてあり得ない~
変なの。
だけど、言っちゃえ。
だって、途中で驚かれたりしないで聞いてもらうことなんて、初めてなんだもん。
今だったら思ってた事全部言えるかもしれない。
ずっと溜めこんでた気持ち、すっきり吐き出せるかもしれない。
「それにっ……」
まだまだ話そうとした時、携帯電話が鳴る。
発信者はマサだ。
ああもう、何なのよ。盛り上がってきたところなのに。
苛立ちながら電話に出る。
『詩子ー。集金出来たか? もう店閉めちゃうけど』
「うっさいな。ちゃんとお釣りも返したってば。計二千百円。もう今日帰んないからアンタ立て替えといてよ!」
『マジかよー。俺今金欠なのに』
「じゃあ和美ちゃんにおごってもらえば」
『ばっか、そんなこと出来る訳ないだろ』
「とにかく、そうしておいて!」
電話を切る。格好ばかりつけやがってあの甘党男め。