ショコラ~恋なんてあり得ない~


「何で笑ってんですか」

「だって。俺、友達って。あはは、嬉しいな」

「もう、ばっかじゃないの」


そんなことで喜べるなんて単純ねって思って、溜息一つ。
だけど、何だか嬉しい気持ちも湧き上がっていた。

だって、あたしと友達で嬉しいって。そんなこと思うの?
これまでそんなこと改めて言われたことがない。


「じゃあ、行こうか。今日は俺がおごるから」


そう言って歩き出した彼の脇に立って歩く。


「名前、忘れちゃいました」

「あ、俺は松川 宗司です」

「松川さんね」

「宗司でいいよ。俺は詩子さんって呼ぶね」

「じゃあ、宗司さん」


そんな感じで、いつの間にかあたしたちは仲良く話し始めた。
だってここまで本性見せてしまったら気楽だもの。

< 41 / 303 >

この作品をシェア

pagetop