ショコラ~恋なんてあり得ない~
「何で笑ってんですか」
「だって。俺、友達って。あはは、嬉しいな」
「もう、ばっかじゃないの」
そんなことで喜べるなんて単純ねって思って、溜息一つ。
だけど、何だか嬉しい気持ちも湧き上がっていた。
だって、あたしと友達で嬉しいって。そんなこと思うの?
これまでそんなこと改めて言われたことがない。
「じゃあ、行こうか。今日は俺がおごるから」
そう言って歩き出した彼の脇に立って歩く。
「名前、忘れちゃいました」
「あ、俺は松川 宗司です」
「松川さんね」
「宗司でいいよ。俺は詩子さんって呼ぶね」
「じゃあ、宗司さん」
そんな感じで、いつの間にかあたしたちは仲良く話し始めた。
だってここまで本性見せてしまったら気楽だもの。