ショコラ~恋なんてあり得ない~


話してるうちにビールがやってくる。
お漬物はナスだ。

嬉しい。ナスの漬物大好き。

お皿が置かれるとすぐに箸を伸ばし、程よい塩分を堪能する。

そしてビール。
このつぎたての炭酸が喉にきくのよ。


「かーっ、おいしい!」


そして、こう唸るのが最高。

そこまでやって、ハタと気付く。
しまった。今は人前だった。

恐る恐る目の前の宗司さんを見ると、意外にも目尻に皺が寄るほどの笑顔のままだった。


「詩子さんって……」


うわ。
何言われるんだろう。

親父臭い?
それとも、女らしさが足りない?

どっちにしろ当たってるから文句も言えないわ。


ちょっと覚悟を固めて彼の言葉を待つ。


「“詩子さん”って感じだよね。個性的で、他に例えようがない感じ」

「……」

なによそれ。

あたしは呆気にとられた。
意味がわからない。
褒められてんのか貶されてんのかもわからない感じ。

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