ショコラ~恋なんてあり得ない~
5 酔いざましの公園で
心と体がアンバランスみたいな状態になりながら、居酒屋を出て夜風にあたる。
「あーお腹一杯」
あたしの声が、しんと静まった公園にこだました。
いや、ホントは物陰にカップルとかいそうだけども、そういう人たちはあたしたちには興味ないものね?
今は夜の十時。
あの後、更にビールを三杯飲んで、さすがにちょっとほろ酔いになったから、酔いざましも兼ねて公園を散歩している。
一方、少し後ろを歩く宗司さんは、一杯のカクテルを最後までかかって飲んだ。
弱いのか、飲む気が無いのか。
おごらせちゃって申し訳ないくらい。
あ、もしかしてあたしが飲みすぎたからこの人飲まなかったのか?
お金、ギリギリだったりした?
「大丈夫?」
「え?」
「何なら割り勘にしましょうよ。食うに困ったら大変よ。あたしだって、そこそこお給料もらってんだから」
「詩子さん?」
思わずそう言ってしまったけど、宗司さんはあたしの言ってることが分かって無さそう。