ショコラ~恋なんてあり得ない~


「先生、しないの?」

「え?」

「塾の先生だと、そういう事すると怒られちゃうんでしょ? 学校の先生ならいいんじゃないの?」

「なれるもんならなりたいんだけどね。教員採用試験ってのがあるんだよ。それに受からないと、国公立の教師にはなれないんだ」

「じゃあ、受ければ?」

「受けてて、ずっと落ちてるんだってば。詩子さん、俺の話聞いてた?」

「聞いてたわよう」


ちょっと不貞腐れて答える。

聞いたかな。
聞いたかも。

でも忘れちゃったんだもん。
もう一度聞いたっていいじゃないのよ。


「何度でも挑戦すればいいじゃない」

「詩子さん俺の事いくつだと思ってんの」

「うーん。二十三くらい?」

「はずれ。二十五。もう三年受け続けて三年落ち続けてるんだ。去年最後にしようって決めて、ダメだったから就職したんだよ」


意外と年とってんのね。
若く見えるのに。

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