ショコラ~恋なんてあり得ない~

「でも、受けれない年齢とかじゃないんでしょ?」

「まあね。でも、いい加減ちゃんと就職したいって思いもあったんだよ。ずっと講師でいるのは生活も不安定だし」


男の人が二十五歳で定職についてないってのは、やっぱりキツイものなのかな。
結婚したい相手とか居たらキツイか。
でもこの人にそんな相手いるのかしら。


「だったら私立とか、色々あるじゃない。塾の先生でやりたい事が出来ないんなら、やっぱり教師を目指すしかないんじゃないの?」

「そんなに簡単じゃないんだよ」


何言っても、やんわり言い返してくる。

穏やかそうって印象だけど、意外と頑固よね。

何故そこまで頑なに言い張るのよ。
あたしだって真剣に考えて言ってるのに。

酔ってるせいもあって、段々腹が立ってきた。


「じゃあ、やめたらいいわ。あなたはもう諦めてるんだもん」

「詩子さん?」

「そんなんで先生なんかなれっこないわよ。あなた、ただでさえ優柔不断だし。あたしは、そんな根性無しキライだから」

「……」


言いたいこと言って歩き続けて。
いつしか、宗司さんの返事が無くなってることに気づく。


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