ショコラ~恋なんてあり得ない~

会話が続くことについ調子に乗ってどんどん言葉が出てくるけど、頭の隅では、昨日の事を謝らなきゃって思いもあって。

ああどうしよう。今更そんな話も変?


「ケーキって奥が深いんだねぇ」


あたしの長い話を嫌がりもせず聞いた後、そんな言葉で締めた彼は、ゆっくりとフォークを口に言える。

あら、食べながら聞いてくれて良かったのに。
どんくさいわねぇ。

そこから先はしばらく無言で、宗司さんは次々口の中にケーキを入れていく。
その咀嚼の動きを眺めながら、勇気を溜めていく。

ほらちゃんと、言わなきゃいけない事は言わなきゃ。
相本詩子の名前がすたるってもんよ!!



「……めんなさい」

「え?」

「昨日、ごめんなさい。あたし、酔っ払っちゃって迷惑かけて」


キョトンっていう言葉がすごく似合う表情をして、宗司さんが開けた口からケーキを落とす。

もう、汚いなぁ。
ていうか、そんなに驚かなくたっていいでしょう。
ある意味失礼よ。


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