ショコラ~恋なんてあり得ない~

「……父さんの考え方は間違ってるわよ。
マサがどんなにいい男だったとしても、あたしを好きじゃない時点であたしを幸せになんか出来る訳ないじゃない。
幸せってそんなんじゃないでしょ。

父さんの言ってるのは型どおりにハマった相手ってだけじゃない。

それにさ、母さんだって生きてるんだから、
自分だけがあたしの幸せの責任を担ってるようなこと言わないで。
彼氏が出来たらちゃんと母さんに見せるし、母さんならちゃんと自分で判断するわよ」


なにせ、あれだけ頭は回る人なのに、この親父を選んだんだから。

冷静に考えて、親父が人を幸せにできるほどの甲斐性なんてなかった。
だけど母さんが親父を選んだのは、どうしようもなく好きだったからだろう。
結果として別れてはいるけれど、二人の仲睦まじかった時をあたしは知ってる。

傍からみてどうこうじゃないんだ。
お互いが想い合えてるかどうかが大事なんだって、幼いながらに理解はしてた。

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